W800はバルブクリアランスが狭い車両になりますので、バルブの打音やベベルギアの金属音の判断がつきにくい車両となっています。この車両の特徴を踏まえて症状と対策方法を考えていきます。
打音と金属音の違い
エンジン内部は細かいパーツに分かれているので、金属がしっかり付いているような鈍い音はしにくいです。なので基本的には細かいパーツの音になりやすいのが現状です。個人差はありますが、聞いているとカチカチと言う音は大体、物が離れて少しの隙間が出来たときになる音が多く感じます。でば金属音のキンキンした音はどうでしょうか。こちらも少し離れてから当たるときの音と同じ感じがしますが。連続音が多ければ結構キンキンと金属を擦った音になりやすいようです。これを踏まえてエンジンの音を分別していけば答えにつながりやすいような気がします。
打音はカムシャフトから起きやすい
打音に関しては先ほども書いたように、少し離れてから再度押す時に当たる音が多いようです。この音はバルブクリアスが絡んでくるのですが、ここに油膜があることで音の鳴りは比較的少なくなる傾向があるようです。では音が大きくなる時はどんなときかと言えば、エンジンかけ初めでいきなり高回転で回して乗ることが多い人や古いオイルや粘度の低いオイルで数時間のバイクのエンジンをかけないことで油膜が切れてしまい、エンジンをかけてから油膜が出来るまでの間にカムをすり減らしてしまう時等にカムとバルブの間に大きな隙間(クリアランス)が出来てカムがバルブをたたいていしまう時に良く聞こえます。それ以外で聞こえることもありますが、ここではヘッドまわりで進めます。
金属音はベベルギアを疑うほうが良
W650や400や800はこのベベルギアを使ってカムを動かすことでヘッドとのタイミングを計っています。このベベルギアの精度によっては音が出易かったりするのが問題なのです。バイクのエンジンはタイミングベルトを使うよりはチェーンを使うことが多いです。これはエンジンをコンパクトにする上では非常に良い方法でありベルトのように簡単に切れてしまうのを防ぐ対策でもあると思います。ではベベルギアを使った方法はどうかと言えばチェーンやベルトよりも確実で機械で回すのでギアが欠けない限りはかなり有効だと思われます。ただし音がするのが欠点です。通常納車されてしばらくはベベルギアの音はしないものですが、ある程度乗ってくると磨り減るわけではないと思いますが、たまに音が出ることがあります。この場合はキンキンを高い音が出ますが、カムの音との区別が付かないことが多いです。
バルブクリアランスとベベルギアの調整
近年のカワサキは専門店でないと見れないところも多いので仕方ありませんが、個人で自己責任で作業する方も多いようです。簡単にやり方を纏めてみましたので、参考程度にどうぞ
バルブクリアランス
- IN 0.08-0.13 EX 0.14-0.19
- エンジンが冷えたのを確認して冷間で作業します。
- タンクを外しヘッド周りのパーツを外します。
- エンジン左側のセンターキャップとタイミングの確認用のキャップを外します。
- プラグを外します
- ヘッドカバーを外します。
- エンジン左のタイミング確認窓を利用して圧縮上始点にあわせます。
- 圧縮上始点を確認して左右片方ずつバルブとロッカーアームの隙間を確認します
- 左右共に確認が出来て規定値よりも大きければシムの交換をします。
- シムの取り外しはロッカーアームを横にスライドすれば外れます。
- INのシムはEXのロッカーアームをずらして固定してから作業します
- シムは小さいのでエンジン内部に落としてしまったらエンジンをひっくり返して出すかバラバラに分解するかで対処するしかありません。慎重に作業が必要です。
- シムは0.05単位でしか出ていないので注意が必要です。
- 例:付いているシムの厚みが300でクリアランスがINで0.21の場合は310のシムを取り付ければ0.11のクリアランスになります。
- コレを左右8バルブで調整すれば終わりです。
- 作業が終われば一度エンジンをかけてしっかり冷やしてからもう一度バルブクリアランスを計るほうが良いです。
ベベルギアの調整
- 調整は簡単です。
- まずベベルギア付近のセンター付近のロック名ボルトを緩めます。
- 後はフックレンチで上部のナットを回すだけです。
- 必ず温感時に作業を行うことと、決して70度以上回さない
- ちなみに回しすぎるとベベルギアを必ず破損をします。
- 個人でした作業はメーカー保証の対象外となります。ご注意下さい。
まとめ
結局はお店に持っていってしっかり聞き分けてもらうのが一番です。お店によってはベベルギアの調整なんてしたことが無いお店も多いので、分かっているお店で調整してもらうのが一番良い方法だと思います。修理代金を安くで済ますのは個人の自由ですが、ベベルギアの破損やシムの脱落で修理代金が20万や30万払うよりは、安くで済むはずです。ほかにも試す方法としては固めのオイルを入れてみるのも良いかも知れません。個人的におすすめはアッシュの15w-50ですかね。